東京地方裁判所 昭和43年(借チ)35号 決定
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〔決定理由〕一、本件資料によれば、次の事実を認めることができる。
1 申立人は昭和三六年八月墨田区東向島一丁目三番三号本件借地(別紙目録記載)の上に存する家屋番号三二〇番木造スレート葺二階建居同住宅(現況一部店舗)一階296.69平方米(89.75坪)、2階289.25平方米(87.5坪)を買い受け、その所有権を取得するとともに、その敷地の所有者(賃貸人)である相手方との間で、昭和三六年九月一日別紙目録記載のとおりの借地契約をした。
2 現在前記建物は老朽化してきたので、申立人はこれを改築するにあたり、鉄筋コンクリート造四階共同住宅兼店舗とする計画をたて、借地条件の変更について、相手方と折衝したが、協議は不成立に終つた。
3 本件借地附近は終戦後急激に発展し、建物の堅固高層化が進んでいる。
4 相手方は、本件借地契約は期間を一〇年と定めており、これは期間の定めのない借地契約と解すべきであるところ、本件建物は既に朽廃しているから、借地権は消滅したと主張している。期間の点については本件建物の前所有者の有した借地権の残存期間を承継したものと認める事情のみあたらない本件においては、相手方主張のとおり期間の定めのないものと解すべきであり、本件建物が相当老朽化していることは認められるが、既に朽廃したものということはできない。
5 本件申立てを不相当とする特段の事情は認められない。以上の事実を認め、本件申立てを相当として認容することとする。
二、附随の処分
1 鑑定委員会は、借地期間を本件申立認容の裁判確定時から五〇年と定められることを予定し、本件土地の更地価格を3.3平方米あたり金一五万円と評価し、非堅固建物所有目的の借地契約における更新料を更地価格の一割、その借地権価格を七割、堅固建物所有目的の借地価格を八割五分と認め、右借地権価格の差額に更新料を加えた更地価格の二割五分の額(3.3平方米につき三七、五〇〇円)と借地人が四階建の建物によつて受ける純利益に土地賃貸人の寄与率(底地価格を借地人の総投下資本によつて除したもの)を乗じた額から年間地代を控除した額(3.3平方米につき金四二、三〇〇円)とを比較考量した上、本件借地契約の借地条件を変更するについて申立人が相手方に対して支払うべき金額として、3.3平方米につき金四万円を相当と認め、賃料については改訂の必要がないとしている。
2 当裁判所は、本件借地契約については権利金等の授受がないこと、本件建物が相当老朽化しており、このまま放置すれば遠からず朽廃するにいたること等を斟酌し、右鑑定委員会の意見、これに対する両当事者の意見を参考として、本件借地契約の期間を本裁判確定の日から五〇年と定めることを前提として、申立人に対し本件土地の固定資産税評価格(3.3平方米につき約九万円)の約二五%にあたる金三〇〇万円の支払いを命ずることを相当と認め、賃料については条件変更に伴い約五割を増額し、3.3平方米につき一月金一五〇円と定めることとする。(西村宏一)
借地契約の内容
一 目的土地 墨田区東向島一丁目三番三号宅地1885.61平方米(570.4坪)のうち442.97平方米(一三四坪)
二 借地契約
1 成立 昭和三六年九月一日
2 目的 非堅固建物所有目的
3 期間 昭和四六年八月三一日まで一〇年間(ただし、期間の定めのないものとして、昭和六六年八月三一日までとなる)
4 賃料 一ケ月金八、七一〇円(ただし、昭和四二年四月以降金一四、〇四三円と改訂された)